沖縄格闘技史上に残る壮絶KO劇
“太陽の子”仲山大雅が大覚醒!

イベント名:LEQUIO BATTLE NAGO vol.1(レキオバトル名護 vol.1)
主催:名護ファイティングスポーツ実行委員会
会場:名護市民会館・中ホール
日時:2017年4月23日(日)



第10試合 ダブルメインイベント フライ級(50.8kg) 3分5回戦 ムエタイルール
×サムライ・カイト(ナムサックノーイムエタイクラブ/エボリューションムエタイジム)
◎仲山 大雅(RIOT GYM)
KO 3R 1分37秒

IMG_0072サムライ・カイトこと儀部快斗は、今を時めく那須川天心や石井一成、伊藤紗弥ら天才ジュニア時代の同期としてトップグループで活躍したアマエリート。中学からムエタイに傾倒し、タイのみならず東京に長期ムエタイ留学を決行するなど本格派路線をひた走り、高校進学よりもタイの南部、“月が最も美しい島”パンガン島のカイムエ(ムエタイジム)に所属することを選択。住み込みでプロ選手として活動し、18歳にして40戦を超えるキャリアを積んでいる。もちろんのことこのほとんどは5回戦のムエタイルール。親からの仕送りも受けず、バイトもせず、“皇帝”ナムサックノーイ・ユッタガーンガムトーンに師事して練習と試合を仕事とする本当のプロムエタイ選手は、今や逆輸入ファイターとして故郷、沖縄は名護で旗揚げしたレキオバトル名護に来日参戦した形だ。

IMG_0063そんな凱旋選手に対するのは、オキナワンファイター最注目株の仲山大雅。沖縄史上最高選手との声も高いキックボクサー、RIOT(ライオット)を師とする18歳、カイトと同い年、この試合で10戦目を迎えるスーパーホープだ。デビュー当初は、黒星も複数の若者だったが、この最近に急成長を遂げ、関係者が刮目させられたのが今年3月26日、在日タイ人の強豪、ジョッキーレック・GTジムからあまりにも鮮やかなKO勝利を収めた金星だった。ジョッキーレックは、WPMF日本フライ級王者などに輝いた伊藤勇真を痛烈なKOに下すなど本気度満点の実力者。仲山戦前にセコンドが「今のジョッキーレックが負ける姿が想像できない」としっかりと練習しきったコンディションを自慢した直後、マットを舐めることとなってしまった。長いリーチと軽量級離れしたパンチ力はサウスポースタイルから左右ともに必倒。今まさに大空に飛び立たんとする鳳雛の輝きが眩しい。

DSC01943そんな現在のウチナーンチュ(沖縄人)対決で最高峰の一戦、レフェリーやジャッジにタイ人を揃えたムエタイルールの5回戦だけに、本式に則りワイクルー(試合前の闘いの舞い)も行われ、試合中はピームエ(試合音楽)が流される。カイトは、いつもの如く流暢に定番の鷹の型を四方に舞い、仲山は、最低限の法礼を済ませるとコンセントレーションに余念がない。

IMG_0085独特の緊張感の中、ゴングが鳴り、第1ラウンドは、静かな立ち上がりから始まった。身体を縦に揺らすムエタイ特有のリズムを取るカイトは、身長とリーチが仲山よりも一回り以上小さくとも強いプレッシャーをかけ前に出る。仲山は、真四角にいかる肩の力を抜きリラックスした具合で大きく踏み込んだ左ショートストレートからの右アッパーを試すように発射し、軽くながらも着弾させる。それでも前進するカイトに鋭い前蹴りを放つとカイトのバランスを大きく崩すことにも成功する。その直後、カイトも前蹴りや右ストレートパンチを返すが、これが内側から高速で放たれ非常にソリッドで美しい。強気に前進するカイトの気を流すようにバックステップを踏む仲山は、下がった途端にステップインして強引にパンチのコンビネーションを流し込む。リズムを寸断するこのトラップにカイトが掛かる。IMG_0093試合開始直後に見せた右アッパーと同じ軌道のそれが強度を数倍にして叩き込まれ、頭が大きく跳ね上がる。あの当たりで即ダウンしないのが不思議なほどの会心の一発。倒れなかったカイトのタフネスと気迫を褒めるべきかもしれないが、その追撃に足を絡ませコーナー付近で転倒。大いに効いている。タイ人レフェリーがダウンをコールしないのがおかしく感じられるほどのダメージ。一気呵成に続く仲山のパンチコンビネーションに高いガードとヘッドスリップで冷静に対処するカイトだが、コーナーに追い詰められアームガードにパンチが連続被弾したところでスタンディングダウンコール。立ち続けていたカイトは、当然、試合続行するも気力で立っているのがやっとの状態。パンチの雨あられに左テンカオ(ヒザ蹴り)を混ぜられ絶体絶命が続くところでドクターチェックが入る。診察個所はカイトの下唇。アッパーにより下顎の歯が貫通して穴が開いている。IMG_0103出血も多いが当面の試合に差し支えないと判断され続行。そんなクールダウンで思いついたか仲山が左ローキックを強振。これにヒザを落とすカイト。明らかに効いている。超音波のような女性の叫び声が非常事態を警告するサイレンの様に聞こえるパニック状態。それでもカイトは、冷静にガードを崩さず前に出る。身体の様子は深刻なダメージを見て取れるが、目は爛々と理知の光を宿している。再度ダウンとされてもおかしくないスリップダウンもありながら、ラウンド終了まで前進し続けることで、ロングリーチの仲山のパンチを結果防ぐことになり、1ラウンドKO負けを強引に阻止した形だ。誰もが予想だにしない恐るべきファーストラウンドの展開に場内騒然。

IMG_0125地元ゆえ応援者も多いカイトの友人知人の祈るような気持ちが背中を押すように第2ラウンド、カイトは更に強く前に出る。ダメージはどうしたって隠しようがない中、尋常ではない勇気と決意が伝わる。仲山は、当たればどれもがフィニッシュブローの勢いでパンチをボディーブローまで含めて叩きつけてくる。IMG_0128これらを冷静に吸収するカイトが鬼の反撃に出る。右ストレートを中心としたアタックは、インサイドから捻じ込まれ仲山をハッとさせる。ラウンド開始すぐは仲山のラッシュが目立ったが、すぐにカイトの攻撃が大半となり、女性の金切り声がピンチの警告ではなく進軍ラッパのように鳴り響く。仲山は「カウンターを誘う為のバックステップ」ではなく削られ後退させられている様子。動きと眼の光が鈍くなり口が開く。攻め疲れか? ここで思い出される両者のキャリア。カイトは、数十戦の5回戦を戦い抜き大きく勝ち越してきた。IMG_0102だが、仲山は5回戦フルの経験がない。初回の大攻勢でスタミナ配分など考えているはずもないだろう。そこでカイトの反撃は、逆転の構図を浮き彫りにさせる。右縦ヒジ打ちや首相撲の崩しから右ヒジの振り下ろし打ちなどムエタイならではの壊し技を連発するカイトが活き活きとしている。だが、仲山もカイトのミドルキックはしっかり足を上げてカットするなど攻撃は見えており「攻め疲れ」も希望的観測かもしれない不気味さを十分残している。それにしてもカイトが攻めまくるラウンドであり「10-9」の優勢ポイントゲットは確実な回となった。

IMG_0114注目の第3ラウンド。カイトが上がるのか? 仲山が新たに巻き返すか? 試合展開は目まぐるしく激しくシンクロする。前回同様、前に出るカイト。手数も勢いも増していく。仲山も先ほどのように受け手に回り過ぎず右縦ヒジ打ちのカウンターなど多彩な攻撃も披露する。それでもカイトは攻撃の手を止めず、試合の趨勢をかなり引き寄せているかのように思えた刹那、仲山の右ロングフックがサークリングするカイトのテンプル付近を掠るように当たりダウン。IMG_0108初回の右アッパーと違い今強烈な衝撃は伝わらなかったが、ダメージは深刻。「何気ない脱力した一撃こそが最高のKOパンチ」との解説は、ボクシングなどでよく聞くが、まさにこれこそが理想の必倒技だったのかもしれない。完全に脳震盪をおこしたカイトは、尻もちをついた状態から立ち上がろうとして逆に頭をマットにこすりつけて動けなくなってしまう。レフェリーは、当然、試合をストップ。1分37秒、戦慄的なKO勝利を仲山が収めた。

カイトのダメージはあまりにも深く、すぐにリングを降りることができない。意識はあるものの、リングドクターの判断で救急車で搬送され、緊急入院から手術となり、今は退院して復帰を誓っているが、あまりにも痛烈なKO敗であった。

DSC01962勝利者マイクをたむけられた仲山は、破顔一笑。殺気のマスクを脱いでハンサムかつ爽やかな好青年に戻り、まずは「尊敬している」というカイトを称え、指導者や応援団、関係者への感謝を忘れず、破壊的なKOパンチャーとのギャップを魅力とする輝きでキラキラと眩い。“太陽の子”仲山大雅……沖縄で最も熱いファイターは、今年中にでも日本全国、いや世界にその名を轟かせる可能性を大いに証明した。
 
※この試合のより仲山大雅は、沖縄トゥクトゥク株式会社より今大会のMVPに選定され、金一封が贈られました。

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全試合結果はコチラ。また、Facebook公式ページでは、この試合の写真を大量に公開しております。